2012年6月30日土曜日

SF はどのように楽しむべきか

読書の幅を広げようと思って SF というジャンルに手を出してみたが、どうにも楽しみ方がわからない。SF を罵倒する意図はないが、どのように楽しむものかを誰かがコメントしてくれたら良いなと期待しつつ、まとめてみる。

ジャンルに依らず、私が好きな構成は「一見関連なさそうな事実がいくつか用意され / 紹介され、最後に全ての事実に整合的なストーリーが提示される」というものだ。

分かりやすい例としてはミステリーが挙げられる。(よくできた)ミステリーでは、事件や証拠 / 証言が提示されるが、それが何を意味するのか最初は分からず、最後に探偵役が何が起こったのかを説明する。ここで読者には「あーそういうことだったのか」という驚きが与えられる。

最近読んだミステリーじゃない例としては「銃・病原菌・鉄」がある。この本では、ニューギニア人の疑問「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」に、生物学・言語学など様々な分野の知見をもとに答えていく。(誰もがきっと一瞬は考える)「ニューギニア人は馬鹿だから」という誤った根拠や、「文明を発達させたのがヨーロッパだから」という表層的な根拠ではなく、初めての人類がアフリカで誕生してから今までに何が起こったのかを解き明かそうとしていて、多くの驚きを含んだ名作だった。

で、SF だが、「幼年期の終わり」(長編)と、「あなたの人生の物語」(短編集)のうち「バビロンの塔」「理解」「ゼロで割る」を読んでみた。前者はどこかの SF マニアブログで「最高傑作」と言われていたし、後者は「ネビュラ賞」なるものを受賞しているので、そんなに間違った選択ではないはずだ。

以下全力でネタバレしてます。

「幼年期の終わり」は、「オーバーロード」と呼ばれる宇宙人が地球に侵攻してくるが、やけに友好的で、地球を平和にし地球人文化の発達を助けてくれる、というストーリー。「オーバーロードの目的は何なのか」というのが、主題(大きな疑問)だろう。
最後に明かされる答えは「オーバーロードより上位に、オーバーマインドという別の宇宙人がいて、オーバーロードはオーバーマインドに仕えている。オーバーマインドは(ドラゴンボールのセルみたいに)完全体になるために人間を吸収したいが、そのためには人間が幼年期を脱する必要があり、オーバーロードにその手助けをさせていたのだった」だ。

この話が気に入らないのは、オーバーマインドという存在を最後に突然登場させて、それで全てを説明している点だ。伏線がまったくない。それで許されるんだったら「地球人を美味しく食べるために育てていた」でも「危険な星を地球人に探索させるために、地球の科学を発達させていた」でも「オーバーロードは実は未来の地球人で、過去の地球人をかわいがっていた」でも、何でも良いではないか。
一般的に言って、観測されたデータに整合的な解釈をするために、新たな概念を持ち出すのはスジが悪い。新しい概念を使えば、どんなものでも説明できてしまうからだ。オーバーマインドを登場させたいなら、登場させなければいけない理由を伏線として提示するべきだろう。

「バビロンの塔」は、世界設定は多分聖書の時代。その世界の空には「天井」があり、その地方の人々は「天井」の先に何があるのか知りたくて、ものすごく高い塔を作った。で、ある男がついに「天井」に穴をあけて、どんどん上っていったら地上に到達して、「そうかー、天井は地上につながっていたのかー、世界はループしていたのかー」という話。
これもそういう結論になる必然性が感じられない。天井の先が、天国だって、平行世界だって、自宅のトイレだってオチつけれるじゃない。地上につながってると何かおもしろいの?

「バビロンの塔」がそんな感じだったので、「理解」「ゼロで割る」は流し読みしただけ。「理解」は「アルジャーノンに花束を」みたいな話しだと思った。薬を注射された男がどんどん賢くなっていったが、同じように賢い男によくわからないやりかたで殺される。えーと、なんで死んじゃったの? ちゃんと読めばわかるのかな。

「ゼロで割る」は、「好きな人を理解しようと頑張ったら逆に嫌いになっちゃった」みたいな話を、ゲーデルの不完全性定理が生まれた時代背景などに掛けている。「数学の完全性を証明するために頑張ってたら、不完全性が証明されたでござる」みたいな。この話に気に入らない点は特に無いけど、特におもしろくもない。あと余計なお世話だけど、不完全性定理の意義が分からない人はこの話の意味も分からないと思うんだけど、SF の読者ってそんなに理系なんですか?

そんなこんなで SF を楽しむに至っていない。コンピュータ関係者で SF 好きって結構多いように思うので、私も仲間に入りたいんですけどねー。

0 件のコメント:

コメントを投稿